immortal 西部劇『独立愚連隊西へ』

 映画のブログを書いていて、何なんですが、最近は映画館に行けていません。2020年4月の新型コロナによる緊急事態宣言以降、劇場から足が遠のいてしまいました。

 iTunes、Netflix、Amazon、WOWOW、日本映画専門チャンネルなどの動画配信サービスの作品ラインナップが充実しているので、ついこれらのチャネルを見てしまいます。

 配信サービスの良いところは、監督とか俳優とかの括りで、過去作品の特集が組まれている事です。例えば、「生誕百周年 三船敏郎特集」とか「ポン・ジュノ監督特集」、「岡本喜八監督特集」。
 それと、雑誌『BRUTUS』の11月15日号が「映画監督論」の特集なんです。

 監督別の作品紹介を読みながら、「なるほど!」と勉強しながら、映画配信サービスで過去作品を有料ダウンロードする。まさに雑誌と配信サービスのメディアミックスによるビジネス戦略に乗せられています。

 なんてったって、配信サービスで80年代の相米慎二監督と大林宜彦監督の作品をボタンひとつで見比べる事ができるなんて、映画好きにとっては夢のような時代です。

 僕は、とりわけ、60年代の邦画コメディーを好んでチェックしています。年末の日本映画専門チャンネルの特集は、クレージーキャッツの「作戦シリーズ」でした。ノリが軽くって、オチが緻密で、笑いの質がとても上品で、その時代を知らない僕にも懐かしく感じます。

フランキー堺、知的でおしゃれ

 植木等、三木のり平、ハナ肇、谷啓、フランキー堺、60年代の中年おじさんは、とても知的で粋で、それでいて無責任。とりわけ、ジャズドラマーでもあるフランキー堺さんがダントツで面白くて、オシャレなんです。


 70年代生まれの僕には、フランキー堺さんと言えば、1980年から12年間続いた法廷テレビドラマ「赤かぶ検事奮戦記」で事件の真相を解き明かす名探偵的な検事役で馴染みです。
 刑事コロンボみたいにボヤく、それも名古屋弁で、いぶし銀の渋い俳優、晩年のフランキー堺さんが僕のイメージです。若い頃の堺さんは、紅白歌合戦の出場歴があるミュージシャン(ドラマー)なんだそうです。
そう言えば、いかりや長介さんや志村けんさんも、ミュージシャン出身の渋い俳優でした。

 フランキー堺さんと言えば、1959年の映画『私は貝になりたい』でのBC級戦犯を求刑される死刑囚役のシリアスな戦争映画のイメージが強いですが、コメディータッチの戦争映画にも出ています。

喜劇的なシニカル戦争映画

 生と死の狭間の重たい反戦映画とも違って、美化された戦争のヒロイズムを皮肉たっぷりに笑い飛ばす喜劇的なアプローチが好きです。アウトローな二等兵たちは、エリート軍人の馬鹿げた命令に従わずに、戦場では酒と賭博、喧嘩に明け暮れ、我が道を行く。そんな喜劇的戦争映画を好んで見返しています。

 このジャンルでは、勝新太郎主演、増村監督の『兵隊やくざ』シリーズと佐藤允主演、岡本喜八監督の『独立愚連隊』シリーズが1960年代に大ヒットしました。

当時のことですから、映画タイトルが、“愚連隊”とか“やくざ”とか凄いけれど、精悍な役者がリアルな実録アウトローさながらの顔つきで喜劇を演じるギャップがたまらないのです。北野武監督の「アウトレイジ」でヒリヒリする怖い漢たちが時々に笑いを誘うみたいな感じです。
 暴力と笑い緊張と緩和、そのギャップに惹かれます。

岡本喜八監督、『独立愚連隊 西へ』

 さて、本日は1960公開の岡本喜八監督加山雄三主演『独立愚連隊 西へ』をご案内します。
 舞台は太平洋戦争末期の中国大陸北部、陸軍上層部の無謀な作戦指揮により第436陸軍小隊が全滅する。そして、旭日軍旗が敵の八路軍に奪われる

 この失態を隠す為に、指揮官は軍旗奪還の為に大量の兵隊を前線に送る
 しかし、中国八路軍の兵力は日本軍の数倍を上回り、奪還作戦は失敗が続く

ツノムラ
ツノムラ

指揮官は、戦争の大儀を振りかざして、歯が浮くような美辞麗句で前線舞台を鼓舞するが、結果責任を取らない。

「兵隊の命よりも軍旗を重んじる」戦場の権威主義とエリート軍人の馬鹿なプライドに腹がたつ。

あらすじ(極力にネタバレ避けます)

 日本軍の戦局は劣勢になる。そして、軍旗奪還作戦の最終手段として、不死身の部隊『独立愚連隊』が招集される。
 左文字少尉(加山雄三)が率いる『独立愚連隊』は、北支戦の最前線で奮闘し、幾度の戦闘で部隊の戦死者を出した事がない。
 このことから、不死身の部隊「immortal squad」と恐れられている。

 補足すると、左文字小隊(独立愚連隊)の兵員は陸軍登録名簿では戦死したことになっており(事務的ミスが原因)、この名簿上に実在しない“幽霊部隊”どの陸軍師団にも属さないことから『独立愚連隊』と呼ばれている。

 戦死者を出さないジンクスには理由がある。左文字少尉は上層部からの無謀な命令に対して面従腹背で、戦場では決して危険を冒さない。

 独立愚連隊はいつも明るく、スケベで冗談混じりで、のらりくらりで、戦闘では誰も殺さず、だれも死なずに、常に安全第一で帰還する。

そして、この度、左文字少尉率いる独立愚連隊は軍旗奪還に出陣する。

向かう敵は、梁隊長(フランキー堺)が率いる八路軍。

ここから、コメディータッチの手に汗握るアクション映画が始まります。

岡本喜八監督の世界『マジメとフマジメの間』の戦争映画の最高峰です。

 気高いエリートの権威主義をアイロニカルに突き、普通の人々の友情に胸が熱くなる、泣き笑いの新喜劇。
 スピーディーなカット割り、セリフが多い会話劇(早口すぎて聞き取れない?)、そして西部劇タッチのアクション、岡本喜八ワールドに没入しました。

続きは、是非に本作をご覧ください。アマゾン・プライムでも配信されています。

 佐藤允、天本英世、堺左千夫、フランキー堺、兵隊役のみんなの面構えが瑞々しくて、なんとも言えない魅力なんです。

彼らがじゃれあいながら歌う歩兵軍歌『独立愚連隊マーチ』はレコード化されていて、その歌詞は秀逸です。
 山歩きで疲れたら、愚連隊マーチを歌うと不思議と元気になる。

それでは、また来週まで。

おやすみなさい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です